■ 道州制特区のメリットについて

北海道が道州制特区になることで、道民にとってのメリットはあるのでしょうか。またデメリットもあるのでしょうか。



 道州制の一番のメリットは、住んでいる地域の特性を生かしながら、住民一人ひとりの知恵と情熱で、より創造的な地域づくりが実現できるということです。

 これまで全国一律だった規制や財政支援などが、権限委譲することにより、北海道の実情に応じた形で地方分権を推進していくのが狙いです。

 例えば、
  ・医師の数の設定基準の緩和→地域の実情に応じた配置が出来る
  ・農地転用の許可権限の委譲→効率的な農村づくりが出来る
  ・学校の利用要件の緩和→より広い用途の子育て支援施設として活用できるということです。

 一方、この道州制導入によって、長い歴史のある開発援助「北海道特例」という公共事業を廃止するか否かということが政府内で議論されています。が、こうした北海道の特殊性を考慮しても、将来的に北海道が真の自立を成し遂げるまでは、いきなり廃止すべきではないと考えています。

 いずれにせよ、道州制の導入によって、私たちの生活がマイナスにならないよう、国や道に働きかけていきたいと思います。


 ■ 子どもたちへの教育のあり方について

北海道の将来は未来を担う子どもたちの成長にかかっています。昨今、子どもたちをめぐる痛ましい事件が続発しておりますが、子どもたちへの教育はどう考えていますか。


 
私は、子どもたちへの教育は、教育の原点である「家庭」、そして「学校」と「地域」の3者が一体となり連携することが何よりも大切であると考えています。その上で、豊かな地域の未来づくりを担う人材として、子どもたちが高い志を持ち、郷土を愛し、心身ともに健やかに成長できるよう育んでいく事が重要です。

 そもそも「人づくりは人が行うもの」であり、人が人を育てます。
 「家庭」においては、親自身が教育者として自覚し、ゆるぎなく自己啓発することが大切です。
 また「学校教育」を子どもたちにとって実り多い場にするためには、教師のたゆまぬ人材育成も必要不可欠です。
 更に、「地域」は住民の主体的な活動や、自立・支え合いの人材育成の基盤です。コミュニティをしっかりと形成し、その中で、子どもたちがボランティア活動、スポーツや文化活動などに積極的に参加し、社会性を育むことが出来る環境づくりが必要です。

 このように、「家庭」「学校」「地域」の3者が連携しながら、大人が子どもたちへ教育に情熱を注ぐことにより、伝統・文化を継承し、おのずと子どもたちに思いやりの心、自らを律する心などの”豊かな心”を育成できると考えています。


 ■ 高齢者の介護者の負担軽減について

高齢者が急増する現在、介護については介護保険制度の改正なども行われておりますが、一方で少子化がますます進み、地域において介護できる人々も限られつつあります。経済的な面だけでなく、実労の面でも介護者の負担を軽減する必要があると思いますが。


 
今の国や道の制度では、地域に応じた形で高齢者介護をするのには限界があります。
 そこでこうした全国一律の介護制度を補うために、”地域力”が必要です。実情に合わせて地域の全住民で総動員することが介護者の負担軽減につながると考えています。

 このためには、まず、
@高齢者が元気に活躍することです。豊富な経験と知識を生かして、健康で自由に働き、楽しみ、積極的に社会参加するなど、様々な形で活動できる地域づくりが大切です。更に、
Aあらゆる世代がお互いに関わり合い、助け合っていく”共生”の意識を持つことです。すべての高齢者やその家族が介護だけではなく、普段からの生活で助け合うことが出来る地域づくりが大切です。

 子どもと高齢者が共に時間を過ごせるような優しい空間づくり等、街並みづくりにもこうした発想が生かされると、住む人にも訪れる人にも魅力的な地域づくりのきっかけにもなり、大きく言えば日本全体が高齢者に優しい国になるのではないでしょうか。


 ■ 道財政の克服について

北海道の財政は危機的な赤字ですが、道庁はこうした財政を本当に立て直しすることが出来るのでしょうか。




 皆さんがご存知のように、北海道はかつてない財政危機です。現在、知事を中心としながら、あらゆる歳出削減と歳入確保をするための行政改革を強力に推し進めているところです。

 このため、「組織」「人材」「予算」に加えて、「行財政の運営システム」をトータルに考え、改革することにしました。行政改革と財政立て直しを同時に行うために、
  @持続可能な行財政の運営のためのシステムづくり
  Aシンプル且つ効率的な組織体制づくり
  B国、市町村、民間との新たな協働関係づくり
という3点を重要としております。

 一方、昨今叫ばれている”地方の時代”に向けて、道内各地域の自立に向けた取組が求められています。道財政の立て直しは道庁だけの問題ではありません。各々の地域でも積極的な取組で地域を活性化することで、初めてこの財政危機を乗り越えることが出来るものと考えております。

 今後も北海道の立て直しに向けて、様々な取組が進められますが、皆さんのご理解とご協力を頂き、道財政の危機を必ず克服して参りたいと思います。


 ■ 地域の産業活性化について

長引く北海道経済の低迷の中で、地域の経済もより厳しい状況です。実情、地域経済を支えるのは、やはり個々の企業活動であり、地域産業の活性化と育成が必要だと感じておりますが、どうお考えですか。


 
「地域ブランド」づくりという言葉が最近よく言われます。他の地域にはない食材などの地域資源を活用して、オリジナルで且つ売れる商品づくりをすることです。

 これに代表されるように、地域の優位性や特性を生かしながら、各々の地域資源を有効活用し、身の丈にあった新事業・新産業を創り出し、官民協働で取り組むことが必要だと考えております。
 これは高度成長期の米国型ではなく、北海道と気候風土は似ているヨーロッパ型の産業経済のスタイルを目指すことでもあり、期待できるものがあります。

 例えばニセコのパウダースノーは、オーストラリアから誘客するなど、ニセコならではの魅力的な地域ブランドです。

 また、地域において産業競争力のある起業化を目指すためには、技術力を高めることが不可欠です。新製品の開発には「産学官連携」(大学など試験研究機関との連携)をして、技術開発に努力すべきです。

 更に、高齢化社会では、NPOなどの主体が連携して介護ビジネスなどを起業する「コミュニティビジネス」の展開も地域経済の活性化につながります。

 いずれにしても新たな産業を生み出すことは一朝一夕には難しく、地域における若手起業家の人材育成、あるいは人材誘致など、地道な努力が必要です。


 ■ 知床ルールについて

 
昨年、知床が世界自然遺産に登録され、我々道民にとって新たな誇りが出来、大変嬉しく思っています。登録された時から「知床ルール」という言葉を聞きますが、どういう意味なのですか。



 世界の宝となった「知床」を、道民はもとより国民で守り育てていこうとするため、国や道、更には地域で新しいルールづくりをしようとしているものです。
 
 まだ出来上がっておりませんが、ルール作りに於ける基本的な視点は”自然と人間が共生する中で、地域経済活性化するルール”ということです。自然を必ずや保護する一方で、そこに暮らす人たちの環境整備を進めながら、地域経済の活性化にもつなげていこうとする理念が前提にあります。

 現在、環境省や道庁とも協議しながら、具体化に向けた体制づくりにも努力しているところですが、やはりそこに住む人々の意向が何よりも大切です。今後も皆さんと十分に議論していきたいと考えております。

 ■ 道路の除雪情報について

冬の道路の除雪や排雪などについては、道路の管理が国、道、市町村に分かれているため、こうした情報がばらばらで、非常にわかりにくいです。道民の安全安心の生活のためには、異常気象時の道路情報がわかりやすく聞こえてくることが大切なのではないでしょうか。



 ご指摘の通り、国、道、市町村の道路上の管理区分に関わらず、冬の大雪などの情報は、関係機関が連携しながら一元化し、道民に迅速にわかりやすく情報発信すべきと考えています。

 現在、道州制特区の議論の中で、道庁では「地域一体型除雪・防災プラン」を国へ提案しているところです。これは、国と道の気象や河川、更に道路情報を一元化し、共有することで、迅速で効率的な除雪体制の確立などを目指しているものです。

 このような取組を進めながら、地域住民や道路利用者にわかりやすい道路情報を発信できるシステムづくりを、国や道に働きかけて参ります。

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